TOP INTERVIEW

トップインタビュー

株式会社東急グルメフロント
代表取締役社長

岡田 哲明

OKADA TETSUAKI

多彩な“食”の提供を通じて、
お客様に満足を、社員にはやりがいを

01 東急グルメフロントとは

多彩な事業と、幅広い顧客接点から生まれる仕事の面白味

はじめまして、東急グルメフロントの岡田です。皆さんは、東急グルメフロントという社名を聞いて、何をしている会社をイメージするでしょうか。当社は様々なブランドを通じてお客様に食を提供する企業ですので、社名から具体的なブランドを想起することは難しいかもしれませんが、飲食事業のフランチャイザーとして、東急線沿線で約30のナショナルチェーンの店舗を運営しています。オリジナルブランドでは、『しぶそば』という駅そばを見かけたことはありませんか。紅茶好きな方ならシンガポールの紅茶ブランド『TWG Tea』をご存じでしょうか。広く一般の方々向けの店舗以外にも、大手企業の食堂を運営受託し、従業員のみなさまに“食”を提供しており、『スマートミール®』認証(※)を取得するなどお客様の健康経営にも貢献できているのではないかと自負しています。

(※)スマートミール認証:
一般社団法人健康な食事・食環境コンソーシアムが実施する「健康な食事・食環境」認証制度。外食や中食、事業所給食などで、栄養バランスのとれた食事(スマートミール)を継続的に提供している店舗や事業所を認定する。

フランチャイジー、オリジナルブランド、従業員食堂など、多様な“食”の提供を通じて、お客様に満足を届ける──そのために、自分たちにできることを探究し、挑戦し続けている会社が、東急グルメフロントです。この多彩さが、当社のポテンシャルの高さにつながっていると考えます。

人が生きていく上で“食”は欠かせないものです。それゆえに、人は食に対して、時間、場所、気分、予算などに応じた向き合い方をしていると思います。「友だちと学校帰りにファストフードに寄っていこう」、「昨日食べ過ぎたから今日はヘルシーな食事にしよう」、「気分転換にちょっと贅沢したい気分だ」など、その日、そのときに、どのような“食”を選ぶかは、実に様々です。
様々なお客様との接点で培われる多種多様な経験や知見を組み合わせ、掛け合わせることによって、新たな価値を生み出すこともできるはずで、それこそが、当社の秘めたるポテンシャルだと思っています。

同時に、多彩な飲食事業を行っていることは、個人個人の特性を活かす機会提供にもつながっていると考えています。例えば、接客業ですからおもてなしの心遣いが大切です。その一方で、調理には論理的な思考が求められます。効率化を図るための定型的な反復業務もありますし、季節ごとのメニューを考案するのは創造的な発想が必要だといえるでしょう。入口やカウンター周りに置いてある立て看板やPOP広告にお客様を惹きつけるコメントを書けるのか、どのような商品陳列ができるのかは感性を発揮し、他店と差別化する機会です。自分の得意な部分や自分でも気が付かなかった部分を活かすことができれば、その分、働いていて楽しいと感じられる瞬間が増えるのではないでしょうか。

また、店長となれば、店舗マネジメントを経験することもできます。より多くのお客様にご利用いただくためのマーケティング、業務効率の改善、スタッフの採用・育成などの人事業務──組織の長として、お客様の期待を超えるおいしい商品と快適なサービスを提供できるよう試行錯誤を繰り返すこと、その結果、お客様にご満足いただき、働く仲間の喜ぶ顔に接すること。それも、“食”に関する事業の面白さだと思います。

シンガポールのコーヒーブランド「バシャコーヒー」とフランチャイズ契約。
日本初となる店舗は2025年冬、東京・銀座にオープン

02 私の学生時代

誰も自分を知らない海外で、自分と向き合った経験

東急グルメフロントであれば、様々な経験を積むことができて、自分の特性を活かす機会を得られる可能性があると話しました。では、自分の特性とは何なのか。学生の皆さんは就職活動を始めるにあたって自己分析などを通じて、自分と向き合う方が多いのではないでしょうか。その過程で、自分という人間が様々な経験を通じて形づくられているのだと改めて実感する方も少なくないはずです。私自身を振り返ってみても、本当にいろいろな経験を積む機会に恵まれたと思えてなりません。

学生時代の私は、自分をさらけ出すことなく、憂いばかりでウジウジしていた気がします。そんな自分を少し変えるきっかけとなったのが海外一人旅でした。大学2年時、バイトして貯めたお金で、アメリカへの短期留学後、帰国せずにレンタカーで西海岸から東海岸まで横断したのが最初です。フェニックスで車を借りて南北へジグザグに大きく寄り道をしながらニューヨークまで全部で1ヵ月弱の旅でした。観光地を巡るというよりも、“ありのままの”アメリカを見てみたいという気持ちが強かったように思います。日本人など一人もいない田舎町で、「日本人を初めて見た」と現地の方に言われたり。自分のことを誰も知らない世界で自分がどのように行動するのか、受け止められるのか、その世界で確かめているような感覚でした。

その後もインドやヨーロッパ界隈などにも一人で旅しました。大変な迷惑をおかけしたこともあり、何があったかなど今更恥ずかしくて言えるものではありませんが、今振り返ると、モラトリアム期に自分と向き合ったのは学生時代の最大の成果だと思っています。

03 新人時代

タフな状況下でも逃げない大切さを学ぶ

1998年に東京急行電鉄(現:東急)へ入社したのは、学生時代に世間に迷惑ばかりかけていたため、より多くの方々に貢献できるインフラ系の企業で働きたいと思ったからです。もともとは都市開発に興味がありましたが、海外事業部に配属となりました。

新人時代は、何とか役に立ちたいともがいていた気がします。自分に自信がないこともあって、仕事に時間を費やすことを厭いませんでしたし、仕事に役立つ知識を習得するよう努めていました。私が入社した1990年代後半は、いわゆる就職氷河期で、バブル経済崩壊後、経験を積んだビジネスパーソンが大量に解雇されて、設備や投資が極端に削減され、日本自体の明日が不安視されていた時代でした。所属した海外事業部は利益貢献できておらず、社内では肩身の狭い思いを強いられていたように思います。業務の多くは事業や会社を再構築する仕事でした。そのような中、会社を辞めようかと真剣に考えたこともありますが、保有する海外資産を譲渡するという話が持ち上がり、担当者として赴任することになりました。自分が担う仕事を投げ出すことはできず、気付くと辞めるという選択肢は自分の中からなくなっていました。

振り返ってみても、あのときの経験は私にとってのターニングポイントだったように思います。その後、経営企画、再び海外事業、人事とキャリアを重ねてきましたが、どの部署でも様々な課題にぶつかりました。そのたびに、そこから逃げずに取り組むことができたのも、これまでの経験を通じて、多少なりとも精神的にタフになってこられたからだと思います。仕事は人と人の関係性があって成立するものですから、どのレベルまで自分ができているのかはともかく、単に専門的な領域の知識や経験だけではなく、立場に応じた視座や視野、先見性や未来予測、感情に配慮した言動などが、様々な業務経験によって培われてきたのだと感じています。

仕事をしていれば、いいことも悪いこともあります。楽しいことも、苦々しい思いをすることも少なくありません。その時々において、しっかり向き合い、楽しいことは楽しみ、課題には対処するよう、努めてきました。

04 東急グルメフロントにおける仕事論

ハードとソフトの両面で、社員の働きやすさとやりがいを追究する

いいことも辛いこともあるのは、飲食店の仕事も同じです。お店には、本当に様々なお客様が来店されます。自分が笑顔で接していると笑顔を返してくれるお客様は多いですし、「おいしかったよ」と帰り際に声をかけていただくと嬉しいものです。でも、厳しい言葉を投げかけてくるお客様もいらっしゃいますし、立ち仕事であることや、火を使うため職場が暑かったりすることもあります。その中で、おいしい食を安定的にお客様へ提供し続けることは簡単なことではありません。

だからこそ、東急グルメフロントは会社として従業員の方々が長く働き続けたいと思える環境づくりに、ハードとソフトの両面から、より一層力を尽くしていきたいです。

ただ、あらゆる業務負荷を軽減すればいいという考え方には疑問も感じています。商品のクオリティーについてお客様からお褒めいただくことがありますが、同じレベルのものを機械だけで再現するのは少なくとも現時点では難しいでしょう。また、お客様の中には、人のぬくもりを感じたいと思っている方もいらっしゃいますし、機械化、自動化をし過ぎてしまうことで、仕事の喜びや満足感を下げてしまうこともあると思います。自分が手を動かして作ったからこそ、ご案内をしたからこそ、お客様に喜んでいただいたときの満足感がより高まるという部分は必ずあると思うのです。

また、店舗という限られた空間で働くには、心理的安全性にも目を配っていく必要があります。自分の意見や気持ちを安心して表現できることは非常に重要です。前向きに仕事に取り組める環境を整えていくことが、従業員に長く働きたいと思ってもらえる職場づくりにつながるからです。こういった環境づくりは、お店の業態や状況、場所によっても変わってくるものだと思うので、一つひとつ見極めながら取り組んでいきたいと考えています。

当社で働く方々のなかには、目の前の仕事に追われている人もいると思います。それでも、職場環境が健全で、やりがいを感じられる仕事と向き合うことができれば、いずれ何かを見い出すことができるはずです。多彩な事業を展開する当社であれば、きっとそんな機会に恵まれるのではないかと思います。

05 学生の皆さんへのメッセージ

「素直さ」を大切にして、飲食事業の面白さを味わってほしい

学生時代の私は、素直な人間ではありませんでした。しかし、海外一人旅で誰も知らないところへ行くことで、自分の態度や言動に対して様々な反応が返ってくることを知りました。入社後は、海外事業に携わる過程で多くの人と向き合ってきた経験などから、「結局、本音を言わないと分かり合えることってない」と考えるようになりました。例えば、自分がミスをしたとき、黙っていることでうやむやになるケースもあるでしょう。でも、そこで自分のミスを認めて言う勇気を持てれば、その経験を成長機会へ結びつけることができるようになります。

「あの人とは馬が合わない」と言う人がいますが、そう言っている本人が「合わない」と思っているだけのことが少なくありません。そう思っているのなら「私はあなたのそういうところが怖いんです」、「そういうことを言ってほしくないんです」と素直に言えるかどうかが、信頼関係を構築できるかどうかの差なのではないでしょうか。

何か偉そうなことを言っていますが、お話してきたことを自分が完璧に実践できているなどとは思っていません。自分に自信を持てず、ウジウジしたところは今もあります。自分が正解だと思い込んでいるだけで、より良い解決法があるかもしれないという迷いは常にあります。経験を積み重ねることで乗り越えられることも増えましたが、自分の力不足を感じることも沢山あります。でも、そのことを素直に認めることで、今も成長していきたいという気持ちを持ち続けることができています。
だから、自分にも他人にも素直になれる方、他人を敵ととらえず尊重し、信頼関係を築ける方、自律的に努力できる方と一緒に、これからの東急グルメフロントをつくり上げていきたいです。

東急グルメフロントにおいて、“食”を介してお客様に満足や喜びを提供するために培ったスキルは、生涯役に立つものだと思っています。ご家族やご友人にも誇って語れる仕事です。ライフサイクルイベントを考えると長く働き続けられないかもしれないと、入社を迷う方がいます。でも、そのようなことは気にせず、ぜひチャレンジしてください。仮に離れることになっても、当社で培った経験はその後の人生できっと役立つ場面があるでしょうし、ご縁があれば、改めて当社の扉をノックしていただければと思います。東急グループの一員であり、食に関する多彩な事業を有する当社だからこそ味わえる飲食事業の面白さや醍醐味を、ぜひ多くの皆さんに体感していただければと思っています。

10QUESTIONS &
10ANSWERS
10問10答プロフィール

株式会社東急グルメフロント 
代表取締役社長

OKADA TETSUAKI

Q1.生年月日、血液型、星座:
1974年2月15日、O型、みずがめ座
Q2.出身学部・学科:
国際関係学部 国際関係学科 卒
Q3.入社年:
1998年
Q4.自身の性格を一言で:
独立独歩
Q5.趣味、休日・余暇の過ごし方:
ジョギング、家事、読書、晩酌

毎日作る、子どものお昼の弁当写真。右端はミートパイ。

Q6.読書傾向:
学生時代はヘルマン・ヘッセなどの文学作品を読んでいましたが、最近はもっぱらビジネス書や実用書
Q7.好きな音楽:
月2回ですがハワイ島で買ったウクレレを習っています
Q8.意識するようにしていること:
「世界平和」、「他者は敵ではない」、「自分に素直であれ」
Q9.もし3カ月休みが取れたら?
山籠もりか世界一周か
Q10.好きな食べ物:
喜びのある食べ物